1.神尾前古墳調査結果

大山廃寺と大山古墳群の地図

「小牧市遺跡分布地図」(小牧市教育委員会 1991年3月発行)の上にこのホームページ管理人がペイントで書き込んだものである。

 遺跡範囲確認調査報告書(U)(小牧市教育委員会 平成5年(1993年)3月発行)の神尾前古墳のページに書いてあることを要約すると、次のようになる。

 神尾前古墳は、愛知県が野口地内で実施していた生活環境保全林整備事業による下草刈りのとき、市民四季の道のすぐ横に横穴式石室と見られる石組みが露出していたのを発見したことにより、調査が始まった。調査は、平成5年(1993年)2月25日から2月27日の3日間に渡り、実施された。

 まず、神尾前古墳の墳丘の状況であるが、発見当初に天井石が一部露出していたように、墳丘は流出してほとんど残っていない。周溝等も確認できず、墳丘を築くための土取りも検出されなかった。また、石室の状況は、天井または側壁上部が崩れたことにより、天井石の一部が破損し、石室内部に側壁・奥壁の石とともに落ち込んでいた。天井石が石室内部に落ち込んだことにより、天井石や奥壁・側壁が元々あった位置より移動して、石の配列が不規則となっていた。石室に使用された石材は、野口・大山にあるもので、天井石の長さは約1.6mあった。石室は、南に開口部があり、奥壁から4.4mの地点に閉塞時に詰めた小さな石がたくさん認められた。石室の規模は、長さ5m、幅1.4m、高さ0.9mくらいと推測され、大山1号墳と同じくらいの規模であると考えられる。つまり、神尾前古墳は、大山1号墳と同じく、墳丘がなく、石室も壊れている古墳であるということだ。しかも、神尾前古墳のこの壊れ方は、まず墳丘を崩し、露出した石室を上からすごい力でかち割ったというように想像できる。

 本調査によって、神尾前古墳は、古墳時代後期の横穴式石室墳であることを確認した。生活環境保全林整備事業によって神尾前古墳が影響を受けることのないように、関係機関と連絡を取り、神尾前古墳周辺を工事対象外とする措置を講じた。また、今後の保存対策については、関係機関と協議して検討を進める予定である。

遺跡範囲確認調査報告書(U)(小牧市教育委員会 平成5年(1993年)3月発行)の神尾前古墳9ページ

遺跡範囲確認調査報告書(U)(小牧市教育委員会 平成5年(1993年)3月発行)の神尾前古墳9ページをこのホームページ管理人がスキャナーで写したものである。

遺跡範囲確認調査報告書(U)(小牧市教育委員会 平成5年(1993年)3月発行)の神尾前古墳21ページ

遺跡範囲確認調査報告書(U)(小牧市教育委員会 平成5年(1993年)3月発行)の神尾前古墳21ページをこのホームページ管理人がスキャナーで写したものである。

神尾前古墳1

神尾前古墳2

神尾前古墳3

神尾前古墳の現在の様子。2018年8月3日このホームページ管理人撮影。

上へ戻る

「5.神尾前古墳目次」へ戻る